一般社団法人はどんな会社に向いてるの??
会社と言えば「株式会社」を連想される方は多いと思います。
しかし現実には、合同会社や有限会社、NPO法人なども会社になります。
もちろん個人事業も会社です。
ではあまり聞きなれない「一般社団法人」とは何なのでしょうか。
他の企業との違いはどこにあるのでしょうか。
このページでは一般的に多い「株式会社」と「一般社団法人」の違いに触れながら疑問を解決していきたい思います。
まず1点目の違いとして”営利性”が挙げられます。
これは非常に大きな違いです。
でもこれだけ聞くと、
「なーんだ、一般社団だったら利益上げちゃダメなのか。ボランティアじゃん」
という声が聞こえてきそうですね。
しかしこの”営利”とはそういう意味とは少し違います。
ここでいう営利とは株主への配当という意味です。
株主とは会社に出資して株を取得したいわば「オーナー」です。
出資の見返りに配当をもらう権利を持っています。
会社は配当をしっかり出して株主に喜んでもらうために必死に利益を上げます。
一方、一般社団法人では設立に際して出資は必要ありません。
そしていわゆるオーナーにあたる人(社員と言います)には持分がありません。
つまり、会社のうち自分の分がどれだけと定められていないのです。
株であれば何%持っているかは分かりますが、一般社団ではそのような指標がありません。
しかもどんな形であれ社員に財産を分配することは法律で禁止されています。
利益を上げることは一般社団法人でもできますが、その利益を配当することはできないということです。
会社の利益を還元できるのが営利企業(株式会社等)で、還元できないのが非営利企業(一般社団やNPOなど)ということです。
2点目の違いとして、オーナーの資格の相続性という点が挙げられます。
どういうことかといいますと、株式会社のオーナーとは”株主”のことです。
株主が何らかの原因で死亡したとすればその株式は相続人に相続されることになります。
よくドラマであるような「株は誰々がもらう!」みたいなやつですね。
これをきちんとしないとどんどん株式がバラバラに相続されていって会社の意思決定が難しくなってしまうなんていうこともあります。
株式には相続性があるということです。
この性質によって最初は少人数で始めた株式会社だったはずが、少数株主がたくさんの状況になってしまい、株主総会の開催すら大変ということもあり得ます。
一方、一般社団法人においてはオーナー(社員)の資格は原則として相続されません。
死亡によってオーナーではなくなります。
よって余計な混乱も発生しにくく、仲間内で始めるにはいい法人格と言えるでしょう。
どうしても相続させたい場合には定款で定める必要があります。
3点目の違いとして、会社の方向性をどうやって決めるかという点が挙げられます。
株式会社ではその名の通り、株式によって会社の方向性を決めることになります。
どれだけ株を持っているかで発言力が変わるということです。
たとえば100株発行している会社で、Aさんは80株、Bさんが20株を持っているとします。
この会社が新しい事業をするために株主総会を開くことになりました。
Aさんは新事業に賛成です。しかしBさんは反対しています。
意見が分かれたのでどっちにするかを投票で決めることになりました。
普通の選挙であれば、賛成1:反対1でドローのはずです。
しかし株式会社では基本的には株式1つにつき1票の投票権があります。
すると、賛成80:反対20でなんと新事業についてOKという結論が出てしまいました。(便宜上もろもろ省略はしています)
さて、そこで一般社団法人を見てみますと、こちらは基本的に”1人1票”です。
つまり先程のケースでいうとAさんとBさんは意見を集約するためにしっかりと話し合う必要があるということになります。
先程も少し触れましたが、一般社団法人には持分がありません。
持ち分がないということは会社自体が”みんなのもの”なのです。
みんなで会社の目的を達成していこうと決意したものが一般社団法人ですので、その方向性を決めるのはそれぞれの構成員ということになります。
信頼関係が重要視される法人形態ということができます。
他にもいろいろと違いはあります。
例えば設立にかかる登記費用が違ったり、設立時に必要な人数が違ったり、財産の出資額に違いがあったり。。。
しかし上記の違いに比べればそれほど大きな違いではありません。
要は今から始めようと思っているお仕事について
- 目的は何か
- 営利性は必要か
- 設立時にどれくらいの費用が必要か
などの点を考慮しながら法人形態を決めていく必要があるということです。