相続Q&AC
はい。本当です。
2018年の国会において相続のルールを定めている民法の一部が改正されました。
施行まではまだ時間がありますが、徐々に新ルールでの運用が始まります。
大まかにいうと、今まで分かりにくかったルールを一部分かりやすくしたことと、新たな制度を導入することになりました。
例えば、遺言書などで特定の人に遺産の全部を遺贈するようなケースにおいて問題になる、「遺留分」というものがあります。
今までは遺留分を取り戻す際には、「現物」を分割するのが基本とされていました。
例えば相続財産が家のみの場合、遺留分を侵害された人は家の持ち分をもらうことになり、遺言書で遺贈を受けた人と遺留分を取り戻した人の共有になるという問題がありました。
そこで、改正法においては遺留分を取り戻す際には”金銭債権”になると規定されました。
つまり、「モノ」ではなく、「お金」を取り戻すことになりました。
これにより、不動産の不要な共有状態を防ぎ、今後の処分のしやすさを確保することが期待されます。
また、新たな制度として「配偶者居住権」が規定されました。
こちらは短期と長期の2種類があり、短期では、遺産分割終了か6か月のいずれか長い方までは配偶者は今の家に住み続けられることになりました。
また、長期においては、相続不動産にそのまま住み続ける場合に所有権とは別に居住権を設け、それを金銭的に評価することで家そのものを相続するしかないという従来の選択肢から、住む権利を相続するという新たな権利を生み出しました。
この計算は少し複雑になりそうですので、詳しくはご相談ください。
自筆証書遺言についてはルールが変わります!
今までは全てにおいて「自筆」が求められましたが、これからは財産目録についてはパソコンで作成してもOKになります。
財産目録とは相続財産の一覧表のようなもので、これには書き方のルールがあり、不動産などがとても面倒でした。
これだけでもパソコンで作成することができるようになれば、あとは手書きの部分を工夫するだけで大幅に自筆の量が減ることが予想されます。
ただし、財産目録にもしっかりとサインすることをお忘れなく。。。
はい、その通りです。
自筆証書遺言の場合には、改ざんなどを防ぐため一定の様式を満たしているかをあらかじめ裁判所でチェックしてもらう手続きをしなければなりません。
きちんとチェックされないと登記申請などでは遺言書を使うことができませんでした。
しかし、改正法においては自筆証書遺言の法務局での保管業務が規定されました。
これにより、保管開始時点で本人確認等をするため、あらためての内容確認などが不要になり、検認が不要になりました。
すごくありがたい制度ですが、法務局へ預けるのは本人しかできないことと、この制度は公布から2年以内の施行となっていますので、すぐには使えません。