贈与はお早めに!
相続税対策として生前贈与を利用される人は多いです。
特に財産が豊富な人は相続の際だけでは減額幅が少なく、基礎控除の引き下げがされた今の税制では非常に高額な相続税を支払うことになります。
その対策としての贈与は早い方がいいと思います。そして時期とすればまさに今だと考えます。
相続税対策において重要なのはなんといっても”生前に”対策をすることです。
その上で遺言書で財産を相続人にしっかりと承継しておけば後からのトラブルを防ぐこともできます。
では生前対策としてよく聞く贈与についてここで見ていきましょう。
そもそも贈与とは
「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」(民法549条)
と定められています。
この中で重要なのが「無償」であることと「相手方の承諾」という部分です。
まず無償とはその名の通り、基本的にタダであるということです。
対価を得てしまうとそれは贈与ではなく、譲渡であると判断されます。
そしてもう一点、相手方の承諾というところですが、これは贈る側ともらう側の契約だということです。(これはすごく重要です)
一方的に相手に贈りたい(ないしは贈ってしまう)だけではダメなのです。
さて、贈与についての法律的な意味をご理解いただいたところで次は贈与について一番気になるであろう点を考えたいと思います。
それはズバリ、贈与税です!
贈与税は相続税と並んで財産移転の税金として2大巨塔として立ちはだかってきます。
要は相続税を払いたくないから先に贈与しちゃえってなると相続税を負担した人との間で不公平だよね?ってことで徴収される税金です。
基本的には相続税より割高です。
なのになぜ相続税対策として生前贈与が使われるのでしょうか。
その答えは暦年課税という制度にあります。
この制度においては毎年110万円までの贈与については贈与税が非課税になります。
つまり毎年100万円ずつ10年贈与し続ければ1000万円の財産を税負担なしで贈与することが可能です。
さらに税負担が最も少ない10%の贈与税をわざとかけることによって税務当局から贈与を否認されることを防いだりすることもできます。
贈与において重要なのは相手方の承諾と先程述べました。
というのも贈与においてよく問題になるのが、名義は子どもの財産だけど、実質は親の管理だよねという「名義財産」だからです。
この名義財産は贈与によって作られることが多いのですが、子どもがその存在を知らないないしは通帳などを管理できていないことによって贈与を否認されてしまうことが多いのです。
実際に税務署から申告漏れを指摘される財産としてはこの名義財産がかなりの割合を占めます。
対策としては贈与契約書をしっかりと結んでおくことや最近では信託による管理が非常に便利です。
さて贈与の説明が長くなってきてしまいましたが、今日のテーマは贈与はお早めに!でした。
そして今の時期が一番いいとお話ししました。
その理由は贈与は1年単位で考えるからです。
贈与の算定期間は1月1日から12月31日の1年間です。
4月からではありません。
そしてこの期間に受けた贈与を申告し、納税するのは翌年の2月からです。
たとえば収益を生む財産を贈与したいと思った場合を例に考えます。
家賃収入がある賃貸物件を贈与しようと考えました。
今は11月下旬。
一刻も早く贈与したいからと焦って専門家に依頼し贈与契約書を結びました。
財産は贈与税がかかる評価額のものです。
すると財産を譲り受けた側はろくに収益が発生する前に贈与税の申告納税がやってきてしまいます。
一方11月に思い立ったのだが、専門家が年をまたいだ方が有利ですよとアドバイスしてくれたとすれば…
贈与税を納税するのは思い立った時点からすれば再来年の2月になりますし、その間に家賃収入によって納税資金が準備できるかもしれません。
こうした点を考慮し、時期をしっかりと考えて贈与をしなければならないのです。
また自宅の贈与に関してはさらに有利な制度もありますので生前贈与が必ず適しているとは言えません。
生前贈与を利用するのに適した財産としては収益物件のほか、将来において値上がりが期待できるようなものなどがあります。
よりよい対策は専門家へご相談ください。
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